圓光寺(えんこうじ)は、徳川家康が足利学校の僧を招いて学校を造ったことにはじまります。明治維新後には、尼僧の道場だった時期もあるお寺です。境内の2つのお庭で紅葉を楽しむことができます。
圓光寺で紅葉の写真を撮影するのにおすすめの場所は?
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江戸時代に造られたといわれる池泉回遊式庭園「十牛之庭」(じゅうぎゅうのにわ)が、紅葉の名所として知られています。
「十牛之庭」は、鎌倉時代末から室町時代にかけて日本で広まった「十牛図」を題材にして造られた庭です。
「十牛図」とは、人間が悟るまでの過程を表現した10枚の絵(尋牛(じんぎゅう)・見跡(けんせき)・見牛(けんぎゅう)・得牛(とくぎゅう)・牧牛(ぼくぎゅう)・騎牛帰家(きぎゅうきか)・忘牛存人(ぼうぎゅうそんじん)・人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)・返本還源(へんぽんかんげん)・入鄽垂手(にってんすいしゅ))のこと。
「十牛之庭」には牛のように見える10個の石が配されていて、中央の大きな石は、牛が伏せているように見えることから臥牛石と呼ばれています。縁側に緋毛氈が敷かれた本堂の書院からは、額縁のように庭園を眺めることができますよ。緑色の苔に紅葉が散った風景も素敵です。
「十牛之庭」では東側に巨岩を、西側に庭石を配置。書院近くに庭石、遠くに巨岩が置かれているため、立体感のある庭となっています。
「十牛之庭」の南側に位置する、ひょうたん型の栖龍池(せいりゅうち)では、池に映る紅葉も撮影することができますよ。栖龍池は洛北最古の池といわれ、ひょうたんのくびれた部分には石橋が架かっています。橋の先は、本堂への道と裏山に向かう道とに分岐。直進すると、瑞雲閣に到着します。
「十牛之庭」にいる「微笑み地蔵さん」と散り紅葉のコラボレーションや、「居眠り小坊主さん」も写真スポットとして人気です。
東照宮のある裏山からは、境内の紅葉と京都市内を同時に撮影することもできますよ。平成時代になってから誕生した、石柱で龍を表現した枯山水庭園・奔龍庭でも、少しだけ紅葉を眺めることができます。
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その年の気温の変動によって多少時期は異なりますが、11月中旬~12月上旬ころにかけて、紅葉の見ごろを迎えます。圓光寺のFacebookに最新情報が掲載されていますので、チェックしてから出かけてみてください。
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曼殊院や詩仙堂という有名な紅葉名所が近くにありますが、圓光寺は比較的すいています。
ゆっくり紅葉を楽しみたい方は、約1週間開催される早朝特別拝観で見学することもできます。
2017年は11月16日~11月22日に開催されました。1日限定70名で、7時30分から通常拝観開始時間の9時まで貸し切りです。応募は約1か月前から電話(075-781-8025)で受け付け。料金は1人1,000円です。
詳細は圓光寺のWebサイトでご確認ください。
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徳川家康の歯をまつる東照宮に行く途中には、画家の円山応挙が訪れた竹林があります。
本堂の入り口前にある縁が広がった水琴窟は、「圓光寺型」と呼ばれる珍しいもの。カーンと明るい高音で響きます。
本堂には、富岡鉄斎が圓光寺を訪れて描いた襖絵「観楓山水図・脩竹清風図」が飾られています。伏見版木活字などが展示される瑞雲閣からも、紅葉を鑑賞することができますよ。
曼殊院(まんしゅいん)
桂離宮を造営した八条宮智仁(としひと)親王の皇子で、修学院離宮を造営した後水尾上皇の養子でもあった良尚(りょうしょう)親王が、2つの離宮に影響を受けて造った書院が見どころ。小堀遠州好みとも良尚親王好みともいわれる枯山水庭園で、紅葉を眺めることができます。小書院の縁先にあるフクロウの彫刻が施された手水鉢も見どころ。
詩仙堂
詩仙の間や書院から眺める紅葉は、サツキの丸い刈り込みとコントラストをなして、赤さが引き立ちます。庭園には、詩仙堂を建てた石川丈山が考案した、落水を使った鹿威し(ししおどし)・山田の僧都(そうず)もあります。
金福寺(こんぷくじ)
当時の和尚が松尾芭蕉と親交を結んでいたため、境内に芭蕉庵がある金福寺。芭蕉を尊敬する与謝蕪村がお寺を再興しました。枯山水庭園からサツキの築山と紅葉、茅葺き屋根の芭蕉庵をあわせて撮影できるだけでなく、芭蕉庵の前からは紅葉と京都市内を同時に写真に収めることもできますよ。
開館時間:9時~17時
拝観料:大人500円、中高校生400円、小学生300円
アクセス
京都市左京区一乗寺小谷町13
- 叡山電車一乗寺駅下車、徒歩15分
- 市バス一乗寺下り松バス停下車、徒歩10分
- 駐車場(30台)あり
まとめ
圓光寺は京都の中心部からは少し離れますが、赤、オレンジ、黄、と色とりどりの紅葉が緑色の苔庭と調和する「十牛之庭」は、見事の一事につきます。わざわざ遠出する価値はありますよ。ぜひ、観光のお時間をとって、出かけてみてください